質問の仕方が部下の伸びを決める(後編)
こんにちは、Base-Upの鈴木翔です。
部下や後輩を伸ばす『コーチング』としての【質問力】の記事の後半です。
前回は、そもそも何のために質問するの?!というお話でした。
イメージしやすいのは、「あんた宿題やったの?」という親の一言が「やろうと思ってたのにやる気なくしたわ」という子どもの行動抑制をもたらす場面ですね。
同じような経験のある方が多いのではないでしょうか?(笑)
良質な質問とは、相手の思考の枠を広げ、気づきを与える質問です。
つまり行動変容、行動促進につながる質問ですね。
今回は、そのような良質な質問とはどんなものがあるのか?についてお話しします。
オープンクエスチョンとは?
前回を振り返って、以下の2つの質問の違いを見てみましょう。
- 「A社の案件、納期が1週間後だけど期限内に納品できそう?」
- 「A社の案件って納期いつだっけ?」
→「どこまで進んだ?」
→「納期が守れない理由は何かな?」
→「どうしたら納期を早められるかな?」
はい、後者を見て「回りくどい!」と思った方!
そうです、育成って回りくどいものなんです。
1のような「はい」か「いいえ」で答える質問は「クローズドクエスチョン」と言われ、2のような「はい」や「いいえ」で答えられない質問を「オープンクエスチョン」と言います。
クローズドクエスチョンは、自分が進捗や意思を確認するために使われ、オープンクエスチョンは、相手に考えさせ答えさせるために使われます。
オープンクエスチョンでのコミュニケーションは最初は時間や手間がかかりますが、質問されるたびに相手の思考が深まるため、相手の成長を促し長期的に見るとメリットの多い質問です。
オープンクエスチョンのコツは、『5W1H』を使うことです。
What(なに?):問題解決のために『なに』が必要?
Why(なぜ?):『なぜ』こちらを選択するの?
How(どのように?):時間を確保するために『どうしたら』いいと思う?
When(いつ?):納期は『いつ』かな?
Where(どこ?):今日は『どこに』訪問予定かな?
Who(だれ?):この会社のキーマンは『だれ』?
(番外編)How much(いくら?):今年の売り上げ目標は『いくら』?
(番外編)How many(どのくらい?):『どのくらい』発注する?
この中で、特に上の3つ(What、Why、How)は、拡張質問と言って相手の思考を深める効果のある質問と言われています。
部下や後輩に質問するとき、ついついクローズな質問をしようとしてしまいがちですが、この5W1Hに置き換えて質問するように心がけてみましょう。
「Why not」は使わない
さて、この中で1つ注意点があります。
それは、「Why not(どうして~ではなかったの?)」という質問です。
例えば
- 「なぜ今月の目標が未達だったの?」
- 「どうしてA社の納期が間に合わなかったの?」
- 「頼んでおいた仕事、なんでやらなかったの?」
などです。
これは、問い詰める質問で相手を不自由にします。
下手をすると、相手の人格を非難しているようにも聞こえますね。
Whyを使う質問でも、このような使い方は相手の成長を促進する効果は望みにくいです。
このような場合は、次のように言い換えると良いと言われています。
「今月の目標が未達だった要因は何かな?」
「A社の納期が間に合わなかったのは、どこに問題があったのかな?」
「頼んでおいた仕事が出来なかったのは、何が問題だったのかな?」
つまり、「Why not」を「What」などに置き換えるということです。
このような質問であれば、問い詰めには聞こえず、答えやすくなりますね。
また人格否定ではないので、改善を促すことができます。
普段仕事をしていると、思い通りにならない部下や後輩に対してついつい「Why not」のコミュニケーションをしがちな方もいるかと思いますが、ぜひこの点に気を付けていただけたらと思います。
普段からどんどん使ってみましょう
オープンクエスチョンは、慣れたら誰でも意識的に使えるようになります。
また、部下や後輩だけでなく、奥さん(旦那)や子どもに対しても使えるコミュニケーションです。
オープンクエスチョンはどうしても相手が考えて答える時間が必要になり、すぐ答えが欲しい時などはもどかしくなることもありますが、長期的にはメリットが大きいと思って、忍耐しましょう。
あなた自身も、部下も、心が軽くなる仕事ができるようにお祈りしています。